1999年3月。
伸びかけの坊主頭で、中学校を卒業した。
高校入学までの春休み。
俺は、なんとしても髪を伸ばしたかった。
あの頃、情報を得る手段といえば雑誌かテレビ。
たぶん、雑誌で見つけたんだと思う。
髪が伸びるシャンプー。
その名も「2001」。
1500円くらいした記憶がある。
中学生にとっては、なかなかの出費だ。
それでも、髪を伸ばしたい一心で、ドラッグストアのカワチで買った。
そして、とにかく洗いまくった。
遊びに行くときも持っていく。
友達の家でも洗う。
髪を伸ばすことしか頭になかった。
そんな俺に、友達が言った。
「セットで使わないと意味ないよ」
どうやら、トリートメントと育毛剤も必要らしい。
3点セット。
全部買うと5000円以上する。
中学生の俺には買えない。
服すら買ってくれないうちの親が、そんなものを買ってくれるわけがない。
そこで俺は考えた。
買ってもらえないなら、買えるようにすればいい。
継母の財布から、1万円を盗んだ。
そして、3点セットを購入。
あとは洗うだけ。
とにかく洗った。
頭皮が赤くなるくらい。
そこまでして、髪を伸ばしたかった。
そして、高校入学。
周りはチャラチャラしている。
俺も早く髪を伸ばしたい。
焦る。
洗う。
洗い続ける。
やがて、シャンプーがなくなった。
金はない。
でも、髪は伸ばしたい。
俺は友達と一緒に、カワチへ向かった。
今度は、シャンプーを万引きした。
店の外に出たところで、捕まった。
万引きGメンだったのか、店の関係者だったのか。
そこは、今となってはよく覚えていない。
友達も一緒だった。
すぐに親が呼び出された。
友達のところには母親。
俺のところには親父。
幸い、学校にも警察にも通報されずに済んだ。
親には感謝している。
自分がやったことを考えれば、感謝なんて言葉だけでは足りないのかもしれない。
そして、俺はまた坊主になった。
髪を伸ばしたくて、髪が伸びる2001を盗んでまた坊主になる。
1999年。
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