一生懸命って、やっぱりカッコいい

僕らの世代は、格闘技ブームの真っただ中を生きてきた。

PRIDE、K-1。

テレビで格闘技を見ることが、当たり前だった。

日本人選手なら、魔裟斗選手、山本“KID”徳郁選手、須藤元気選手、武田幸三選手。

外国人選手なら、ミルコ・クロコップ、エメリヤーエンコ・ヒョードル、アントニオ・ホドリゴ・ノゲイラ。

今思えば、本当にすごい選手たちが同じ時代に戦っていた。

そんな中で、僕が気になる存在だったのが青木真也選手だった。

派手な打撃で観客を沸かせるタイプとは少し違う。

何をするか分からない。

トリッキーで、曲者。

そんな印象の選手だった。

そして、時が流れた。

僕も42歳になった。

今回、青木真也選手の試合を見た。

試合前、リングへ向かう花道。

その表情が、ものすごかった。

鬼気迫る。

そんな言葉がぴったりだった。

「死ぬ気でリングに向かっているんだな」

本気でそう感じた。

そして試合。

残念ながら、青木選手は負けた。

でも、僕は試合を見終わったあと、純粋にこう思った。

「青木真也、かっこいいな」

何度もタックルに行く。

倒されても向かっていく。

最後まで立ち向かう。

その姿に、感動した。

試合後、青木選手本人のYouTubeも見た。

そこで、年齢による衰えを感じていることや、現役を終えることについて話していた。

最後にもう一試合するのか。

それもまだ分からない。

そして、新しいことを始めたいとも話していた。

その言葉が、なぜか自分の中に残った。

そんな青木選手を見ていたら、昔のことを思い出した。

実は僕、一度だけ青木選手に会ったことがある。

スマホの中に残っていた昔の写真を探してみた。

そして、見つけた。

あった。

あの頃の青木選手と、あの頃の自分。

写真を見ると、あの頃の時間が一気に蘇ってくる。

……ただ、この写真には少し恥ずかしいところがある。

僕、マスクを取るのを忘れてます。

たぶん、緊張していたんだと思う。

今見ると、

「なんで俺、マスクしたままなんだよ」

と、自分でもちょっと笑ってしまう。

でも、テレビで見ていた選手を目の前にしたら、そりゃ緊張もする。

今となっては、それもいい思い出だ。

今回、青木選手の試合を見ていて、もう一つ思ったことがある。

若い頃の僕は、一生懸命やることを、どこかカッコ悪いと思っていた。

必死になる。

努力する。

がむしゃらになる。

余裕があって、涼しい顔をしているほうがカッコいい。

そんなふうに思っていた時期もあった。

でも、20代半ばくらいには、少しずつ考え方が変わっていた。

一生懸命やっている人のほうがカッコいい。

必死になっている人のほうが、見ている人の心を動かす。

そんなことに気づいていた。

そして42歳になった今。

青木真也選手の姿を見て、その気持ちを改めて強く感じた。

勝ったか、負けたかだけじゃない。

そして、青木選手の「新しいことを始めたい」という言葉を聞いて、自分のことも考えた。

僕も最近、

「まだ走れるだろう」

と思って6km走った。

結果、中足骨を骨折した。

身体は正直だった。

「お前、もうおじさんだぞっ」

と、身体に教えてもらった気がする。

でも、走れない時期ができたからといって、何もできなくなったわけじゃない。

できなくなったことを嘆くより、今できることをやればいい。

格闘技ブームの頃、テレビの向こうで戦っていた選手たちも、いつの間にか歳を重ねた。

そして自分も、同じように歳を重ねている。

一生懸命って、やっぱりカッコいい。

今日も晩酌しながら、そんなことを考えた。

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