タコ踊り

左右田君が転校したのは小学校5年生の頃だった。隣の学区の小学校に転校して行った。

4年生の時におこした空き巣事件がきっかけだと後々聞いた。

あの事件で盗んだ金額は30万を越えていて、大甕町の同級生 自分達の先輩、後輩にも盗んだ金で奢っていたので先生に細かく調べあげられ大問題になった。

幸い警察にも通報されなかったが実行犯は左右田君、纐纈君、俺だったので学校からはとても厳しく指導された。

転校した左右田君と、再会したのが小学校6年生の陸上記録会。

左右田は君左右田君が通う小学校の友達に、俺を紹介してくれた。

「こいつ、めっちゃ速いから」と

そして中学1年。

同じ中学になり、部活も塾も一緒だった。

ただ、俺は家庭の事情で部活に行けなくなった。

夏休み。

そんな俺の家に、左右田君が迎えに来た。

「行こうぜ」

そんな感じだったと思う。

周りからは、

「なんで左右田君と一緒にいるの?」

なんて言われることもあった。

でも、俺は気にせず左右田君と一緒にいた。

左右田君と一緒にいると楽しかった

中学2年になると、俺は塾に自転車で通っていた。

塾へ行く前に、左右田君の部屋に寄る。

ロカビリーが流れていた。

そして、タバコの煙。

俺もタバコを吸うようになった。

タバコを吸った事がない俺は手持ち花火みたいにタバコへ火をつけていると、

「何やってんだよ、モヤっぺーなっ」

と、左右田君がタバコをくわえ酸素を吸いながらタバコに火を着けた。

ピアスも、左右田君に開けてもらった。

安全ピンをライターの火で炙り、マキロンで消毒。安全ピンを消しゴムに刺して耳にあける穴が曲がらない様に開けて貰った。

今思えば無茶な事してた。

最初に付けたピアスは左右田君に貰った物だ。

中学生には少し背伸びしたゴールドのリングピアス。

塾が終わる。

帰り道は、適当な場所で一服。

そんな中学2年生だった。

中学3年。

左右田君が、同級生を恐喝した。

肋骨を折ったらしい。

そして、少年院へ行った。

それから、しばらく会わなかった。

高校2年の頃。

自動販売機のところで、左右田君と再会した。

セカンドバッグにアイパーという出立ち。

目が合った。

でも、話はしなかった。

そして18歳。

友人が運転するスクーターの後ろに乗って町内を走っていた。

二人乗り。

もちろんノーヘル。

走っていると、

商店街のスーパーの前に左右田君がいた。

坊主頭に眉間にシワを寄せ、青いプーマのジャージを履いていた。

俺たちは、また目が合った。

すると左右田君は、

険しい表情からニコッと笑い

突然、踊り始めた。

腕を振って、

身体をくねらせて、

なんとも言えない動き。

暴走族の、

タコ踊り。

俺は笑った。

左右田君も笑っていた。

小学生の頃に出会って、

中学では一緒に過ごして、

タバコの火のつけ方を教えてもらって、

ピアスまであけてもらった。

そして少年院へ行った。

そんな左右田君と、

18歳になって再会した場所で見たのが、

タコ踊りだった。

今思うと、

憎めない人だった。

あわせて読む。

左右非対称 大甕町時代

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