なぜ逆さま?

職場の主任は、
勤続34年の大ベテラン。

俺が22歳で働き始めた頃には、
すでに勤務していた。

長年、外来を支えてきた主任。

その経験は、
俺なんかには想像もつかない。

ある日、
他院から届いたMRIの画像データを
サーバーに取り込む仕事があった。

画像を確認し、
必要なキー画像を選んで印刷。

主任に渡した。

腰椎のサジタル画像だ。

主任は印刷物を眺めると、

「へぇー、見やすいねー」

と褒めてくれた。

ありがたい。

……ただ。

その画像、上下逆さまに見ていた。

普通なら、
見づらいと思って反射的に紙を180度回転させる。

ところが主任は、
むしろ見やすいと言う。

そこで俺は考えた。

もしかすると、
主任くらいの経験を積むと、
普通の画像では物足りなくなるのかもしれない。

毎日、何枚も画像を見てきた人だ。

正しい向きの画像など、
見飽きているのだろう。

たまには上下が逆さまなくらいが、
ちょうどいい。

いつもと違う角度から眺めることで、
新しい発見がある。

熟練者にとっては、
簡単な間違い探しのようなものなのかもしれない。

俺が気づかなかった違和感さえ、
主任にとっては、
画像を楽しむためのちょっとしたスパイス。

なるほど。

これが勤続34年の境地。

レジェンドオブレジェンド。

俺もいつか、
その域に到達できるだろうか。

いや。

俺なんて、
胸椎から腰椎、仙骨、尾骨と、
順番に追いかけているようでは、
まだまだ修行が足りない。

主任のような深い境地には、
到底たどり着けそうにない。

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その番号、誰が確認した?

スイミーじゃなく、タイミー🐟

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